北鎌尾根から大キレットを越えて

合宿総括(北鎌尾根からの槍穂縦走を終えて)

                             合宿L:小林

◎総括

 雨天のため小槍の登攀は中止としたが、参加メンバーの力からすれば、登攀具も入ったザックを背負っての槍穂縦走の完遂は、合宿にあたって掲げた「北鎌から穂高を目指す」、「今のGDMらしい“いい山”を全身で体感する」ことができたと考えています。

 北鎌沢出合に沢山のテントが張られ、北鎌尾根の人気の高さを改めて感じたが、それだけトレースもしっかりしてきているのだろうが、見落とすこともあり、もっとルート確認に気をつけたい。また、フィックスロープの解除忘れがあるなど、全員にシステム確認を徹底すべきだった。雷の発生がなく助かった面があり、スピーディーな縦走の体力が必要と感じた。

・装備

 各自工夫して軽量化を図ってザックはコンパクトになった。小槍登攀でも、9㎜ザイルとした方がよかった。水場について、事前に北鎌尾根をトレースした小沼会員の情報で、無駄な水を持たずに済んだ。

 ガスカートリッジは、大2本で充足できた。コッヘルは大中小を用意したが、食事メニューからは大中だけでよかった。

・食料

 軽量化を考慮しα米を使い、朝はお茶漬け・ふりかけだが種類が豊富で飽きなかった。夜も、食品スーパーの材料を巧みに使いおいしく食べやすいメニューだった。各自のメニューの引出しを増やすだろう。

・その他

 キャンプ地の状況など、事前に情報を取得する努力が必要だった。

 軽量化とお酒のどちらを取るかは、永遠の課題だ。

ウサギギク

行動記録

【8月11日】

 “沢渡の駐車場に4時30分集合”ということで、中野と長野から前夜発で出発した。途中、佐原が波田の役場まで来ていたが、仮眠をして早朝合流するとのこと。

 沢渡第2駐車場に松沢さんも時間通り集合し、共同装備・食料等とりあえず各自のザックに詰め込み、タクシーで上高地に向かう。バスターミナルの中庭で荷分けを行い、用を足して出発。曇り空だ。

 明神、徳沢、横尾と朝早い時間にもかかわらず、人の多いこと。さすが銀座道路と言われるだけのことはある。横尾から先は、涸沢と槍とに分かれるので、登山者もだいぶ少なくなる。涸沢方面に行く人々がかなり多い。我々は、槍方面に足を進める。     

一の俣、槍沢ロッジ、ババ平、大曲と明日からの登攀に各自思いを馳せつつ、足を前に進める。大曲から北鎌に向かう者と、槍に向かう一般登山者とに分かれるが、それにしても北鎌に向かう人数が多い。北鎌尾根も、今では一般登山道になってしまったのか。陽も当たり始め、喘ぎあえぎ急坂を登り、やっと水俣乗越に着く。             

        槍沢ロッジ

 いよいよ最後の下り。砂礫の急なガリーから草付きを慎重に慎重に下り、天上沢上部の水なしの河原状に出る。転石の河原ほど歩きにくいものはない。人が多いので、テント設営場所が心配だ。山田、佐原にテント場確保に先行してもらう。残りの者は、各々のペースで足を運ぶ。

やっとの思いで北鎌沢出合に着くと、先行した二人がテントを張って我々を迎えてくれた。ありがたい。これで今日一日が終わったのだ。

上高地発5:40 横尾8:30    一ノ俣9:35 槍沢ロッジ10:20

ババ平11:05 大曲(乗越分岐)11:45 水俣乗越13:30

北鎌沢出合15:55

(記:柴本)

北鎌沢出合へ(膝にこたえる。)

【8月12日】

 北鎌尾根上には水もないので、今日中に何としても槍ヶ岳の肩の小屋のテント場に着きたい。このため3時半に起床して5時に北鎌沢出会いのテント場を出発した。15分ほどで二股に到着する。晴れていれば間違えることはないが右股が正規のルートである。急な登りをひたすら登る。2時間半ほどで北鎌沢のコルに着いた。ここでハーネスを付けて独標を目指す。ほぼ尾根どうしに進むが一部巻いたりするところがあり、解りづらいところもある。

独標は千丈沢側に巻き道がある。先行パーティーを見ているとあんな所が登れるかと思うが、行ってみればホールドもスタンスもしっかりしていて問題ない。最初にスタンスが崩れているところにフィックスがあったが、安全を考えてザイルを出して通過した。巻き道に二か所程悪いところがありザイルを出して慎重に進んだ。ザイルを使っていないパーティーが多かったが、滑落が致命傷になるところではザイルの使用をためらうべきではないと思う。お助けひもに助けられてチムニー状の岩壁を登り尾根上に出た。

ここから北鎌平までまだ長い道のりが続く。だいぶ晴れてきて時々槍ヶ岳が見えて励みになる。北鎌平には千丈沢側を巻いて登るのだが、視界が悪いと分かりづらい。幸い我々は先行パーティーにも助けられてすんなりつくことができた。ここまでくれば槍ヶ岳山頂はすぐそこである。視界も良くなり1時間ほどで最後の登りに入った。安全を考えて最後の2ピッチ(50メートル程度)はザイルを使った。案の定北鎌尾根から出ていくと、山頂の登山者から驚きをもって迎えられた。朝から12時間行動でみんな疲れていたが、それぞれ満足げに山頂に登ってきた。すぐに下山したかったが、順番待ちで肩の小屋に着いたときには6時を過ぎていた。テント場がいっぱいなので明日の小槍登攀も考えて、肩の小屋に素泊まりで泊まることにした。状況に応じて小屋泊まりもためらわなくなったのはいいことだと思う。私の会での最初の夏合宿は今回と同じコースだった。(入山は湯俣だが)39年前のことである。その時は霧と雷でルートが解らず北鎌平で幕営となった。酒はあるのに水がなく、往生したことが印象深い。久しぶりの北鎌尾根であったが充分に楽しめたと思う。    



    北鎌平へ                  

北鎌沢出会い5:00 右俣高度2000m付近5:45 高度2350m 7:40 北鎌沢コル8:05

2650m地点9:10 独標手前 10:10 独標尾根上12:00

北鎌平15:30 槍ヶ岳山頂 17:00 肩の小屋18:00

        (記:山田)


                  北鎌平にて



                 穂先への登行


       穂先に出る。

【8月13日】

3:30起床。雨。折角、山小屋に宿泊までしたのだが、「♪小槍の上でアルペン踊り♪」は残念ながらキャンセルだ。山小屋の自炊場で、朝食を摂りながら行動予定を相談する。窓の外はしっとりとした霧雨が続き展望もよくないので、下山組は氷河公園を諦めて槍沢を下ることにする。


6:00ゆっくりと出発。下山組2名と別れて稜線を南下。大喰-中岳-南岳と、ガレのアップダウンを進む。「こんなに上ったり下りたりしたっけ?」と小林さんが言う。晴れてアルプスのパノラマを楽しみつつの山旅だったら登り下りも気にならないだろうが、今日は霧で足元のガレしか見えないのでひたすら辛い。

南岳を越えると岩稜帯に入る。コースは滝谷の一部であり、気の抜けないムーブが続く。ホールドは豊富だが霧雨で濡れた岩はフリクションが効かず時に滑る。ムーブのやばさと登攀グレードは、北鎌よりはるかに高く感じる。所々には岩に鉄板のステップがボルトセットされており、これを踏まずには通過できない。槍から穂高まで一本道、こうまでしないとルートを維持できないのだ。白い霧の中、時折北穂の黒いシルエットがゆらりと浮かんでは消えるが、全貌を見せてはくれない。10:10長谷川ピークを過ぎる。山岳パトロールの若者2名が足早に行き過ぎる。この悪天候の中ごくろうさま、と感謝。天気のため自重する人が多かったのか、大キレットはお盆とは思えないほど人が少なく静かだ。視界が悪い中、登山道は分かり難い箇所があり、白ペンキの○マークと、岩の苔の生え具合(人が歩けば苔は削れる)を頼りに進む。休憩の時に一緒になった若者が「このコース初めてなので後から行かせてください」と言うので、しばらく一緒に歩いた。このあたりでは他会の若者の道迷いからの転落事故が過去にあり、若者が慎重なのは良い事だと思った。

歩きながら各人が滝谷の思い出を語るが、濃霧は一向に晴れず壁は見えない。    

A沢のコルからもキツいアルバイトを続け、何も見えないままB沢のコルは気付かず通過した(山田さんは気付いていたようだ)。晴れていたらどんなに素晴らしい眺望だったろう、どんなに素晴らしい気分だっただろうねえ。

12:30北穂高への最後の登りを終えた後、大休止。霧で真っ白な背景をバックに北穂高岳の標識と記念撮影をして、南稜を慎重に下る。3日分の疲れが膝と腿にじわりとくるので、ゆっくりと、ゆっくりと、歩いた。 

      北穂手前の登高

15:30盆中の天気予報が振るわないせいか、涸沢のテントは去年よりずいぶん少ない。遅めの到着だったが、平らな礫の上の一等地にテントを設営できた。

山田さんは旧パートナーの吉田隊長に面会しに山岳パトロール常駐所へいったが、残念、明神東稜へ出張中との事でお会いできなかったようだ。

テントを張って中に入ると雨は本降りになった。

夜半晴れ、テントから顔を出すと満天の星が豪華に見えた。ペルセウス座流星群の流れ星を見た人の歓声が時々上がる。軽量化のため持参した夜具はシュラフカバーのみ、随分寒かった。

  (記:戸谷)

      さあ涸沢だ!

【8月13日、槍沢下山パーティー】

本日下山の佐原、松澤は早朝に小槍の登攀の計画だったが、昨夜の雨が今朝も霧雨で中止。不要になった団装を引き受けて(大半が佐原君のザックへ)早々に下山開始。

足元の石は濡れて滑るがそれでも早めのペースでどんどん前の登山者を抜いていく。ジグザグの下りが終わった辺りで休憩。はっきりしない天気だが、汗も吹き出し雨具をしまう。このあたりから自分のペースが急にダウン。佐原君はどんどん先へ行くが全然追いつけない。他の下山者にも抜かれ始める。久しぶりの合宿参加でザックの重さが体力の衰えを実感。

槍ケ岳ロッシに着いたのが8時過ぎ。雨が強くなってまた雨具を着る。道は歩きやすくなったがペースは全く上がらない。ザックの重量がずっしりと肩に食い込む。横尾からは一気に人の数が増えて、急ぎ足で上高地に向かう観光客にもどんどん抜かれてしまう。本降りになった雨に追われるようにバスターミナルに到着。ほぼ8時間の下山行でした。

  槍ヶ岳山荘5:40 槍沢ロッジ8:10 横尾10:10 上高地13:45

                            (記:松沢)

【8月14日】

 昨夜の雨も止み、まずまずの天気である。朝食をとり、テントをたたみ、荷造りをし、トイレも済ませ、涸沢を出発する。

 昨日までの合宿の成果を各自話しながら下る。本谷出合で一服し、横尾への途中屏風岩を見上げ、写真を撮ったり、あそこが何処だ何々ルートだと色々説明しながら楽しく足を運ぶ。

 横尾までくれば、登山者やら観光客やらで、ワイワイ、ガヤガヤ賑やかこの上ない。明神、徳沢、上高地までの道はファッション雑誌から飛び出したようなカラフルな出で立ちで、我々に目の保養をさせてくれ、うれしい限り。

 上高地からタクシーで沢渡へ。帰りは、恒例となった温泉を竜島温泉に浸かり、昼飯は鴨うどんと行きたかったが、食材がなくなり閉まったところ。レストランも仕込みが間に合わず時間待ちで、もう一軒回ってやっと食べることができた。さすがにお盆だ。ここで解散となった。

  涸沢6:10 本谷橋7:14 横尾8:25 徳沢9:35 明神10:30

  上高地11:30

(記:柴本)

合宿の感想

『夏合宿について』 … 佐原                   

8月11日(1日目)

 北鎌尾根にはまだ一度も行ったことが無かったため大変楽しみにしていました。昨年の夏合宿では久々に全日程参加したものの、体力的にも技術的にもなかなかついていくだけで精一杯だったので、今年はある程度トレーニングを心がけていましたが、家の周りを走るぐらいではあまり役に立ちませんでした。

 初日は、上高地から延々と平地を歩いて水俣乗越への登りで力を使い果たし、下りで少しは元気が出るかと思ったものの、涸れ沢の下りは大変きつく天場の確保のため少し急いだだけで到着した時には、足がつって動けなくなり水も汲みに行けないような状態でした。

 水俣乗越から北鎌沢までが一般道ではないルートとなり、最初は急傾斜のルンゼ状の踏跡を下り、草付きや灌木のなかのジグザグの踏跡で一気に下り、涸れた沢に出ると傾斜が緩くなりましたが、大変歩きづらく体力を消耗しました。

8月12日(2日目)

北鎌の登りは、昨日同様大変きついものでした。ルートがはっきりしていないのと、装備一式を背負って結構厳しい岩場を登る重圧から、体力的にも精神的にもかなり余裕のない状況でした。

ただ、これまで見たことのないアングルからの周りの山々は大変新鮮に感じ、特に広大な千丈沢の対岸に続く硫黄尾根は、以前、ルートファインディングで苦労したルートがよく分かり大変興味深いものでした。また、ガスが切れて見える槍の穂先は小槍や孫槍を従える、これまで見たことのないもので感激しました。

体力を使い果たして頂上に出ると、夕方にも関わらず大勢の登山者がいてシーズン最盛期の槍ヶ岳であることを思い知らされました。

肩の小屋への下山時に、明日の小槍登攀の偵察で取り付きへの下り口と登攀ルートを確認し、何とかなりそうと、とりあえず安心しました。

天場がいっぱいで小屋泊まりとなり、最盛期の小屋に初めて泊まり、人がいっぱいで居場所もないといった感じでしたが、夜から土砂降りで濡れることなく、暑いこと以外は快適でした。

8月13日(3日目)

 朝から霧雨で、小槍登攀は中止となり、これで本体と別れて下山となりました。判ってはいるものの槍沢から上高地までは大変長く、ただひたすら歩くのみでしたが、下山してみると靴ずれやザックひものずれで傷だらけでした。やはり山のトレーニングは、常に山に登って鍛えないと意味がないと実感しました。

『食当雑記』                      食料担当:戸谷

軽量化のため、ドライフードを徹底したが、食事は山の楽しみの大事な部分だ。できるだけ隊員が満足できるものをと考え、工夫した。

【良】鍋で作るカレーライスが好評だった。

   材料(6人):ローソン限定品「ベジップス(野菜チップス)」1袋(荒く砕く)、ベーコン80g、クノール「ほうれん草と卵のスープ」2人分、カレールー「バーモントカレー中辛」8皿分 作り方:湯を沸かす。先に野菜チップス、乾燥スープ、ベーコンを湯に入れ、馴染んだらカレールーを溶かす。

【良】アマノフーズ「うちのお味噌汁」シリーズが味噌の味が良いと好評。

 ※西友日詰店、綿半稲里店等で購入できる

【良】朝のふりかけ・お茶漬けに、わさび・鰹節パック・ごまを添えてた。各自、途中でトッピングをプラスして最後まで美味しく食べきってもらえた。

【悪】会員も年配になり、1食α米1人前(100g)は多すぎた。半量~2/3人前で丁度良い。

【悪】おやつにポップコーンを作る予定だったが、不評で中止。

【悪】朝食に漬物が欲しいとの声。今回の買出しがいつもの「ツルヤ」でなかったので、個包装の漬物を入手できなかったため割愛した。漬物は重くなりがちだが、予め汁気を絞る・比較的軽いものを選定する等で対応できたか?と反省。

以上

             独標を越えて(疲労と先への不安の色が濃い)

Groupe Des Moraines

長野市の山岳会グループ・ド・モレーヌです。 まだ高い山は雪山ですが グリーンシーズンが到来です この時期は暑くもなく寒くもなく快適な登山ができて本当に楽しい季節です 高い山に登るとまだ沢山の雪が残っていて北アルプスに登りに行くと雪が合えばグリセードで帰ってこれるので楽チンに帰ってこれるのでとても良い時期ですね 長野県の山はまだ雪山の場所が多いの安全に登って無理をしないよにしてください

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